大人の矯正治療 Q&A

  1. 子どもの頃から歯並びにコンプレックスを持っていましたが、矯正治療の機会を逃してしまいました。
    子育ても一段落したので矯正治療を始めたいのですが、今からでは遅いでしょうか?
    基本的には、どんな年齢においても矯正治療を行うことは可能です。ただ虫歯や歯周病がある場合には、これらの治療を優先しなければなりません。また、上下顎の不正の程度が大きい場合には、外科手術を伴う矯正治療が必要になることがあります。さらに、顎関節の状態によっては、治療をお勧めしない場合や、慎重に矯正治療を行うこともあります。

    歯周病等で失った歯がある場合には、矯正治療を行うことで、インプラント治療や入れ歯の治療が有利になる場合があります。その際は、一般歯科医と連携しながら矯正治療を行います。

    大人の矯正治療の場合、歯が並ぶ土台となる顎(あご)の成長は見込めないため、歯を移動して正しいかみ合わせを作っていきます。大人の方は、歯並びに対する意識も高いので、矯正治療に積極的にのぞまれ良好な結果をもたらすことが多いようです。矯正治療が可能か一度ご相談されてみてはいかがでしょう。
  2. 矯正治療は痛いと聞いていますが?
    マルチブラケット装置では、ワイヤー交換や調整を行った後は噛むと痛みや不快感を訴える方がいらっしゃいます。個人差がありますが、通常3日~1週間ほどで治まってくることがほとんどです。使用されるブラケットやワイヤーも以前のものより大きく進歩しており、痛みを軽減する方向にむかっています。
  3. 矯正治療は健康な歯を抜かなければいけないと思っていましたが、最近は抜かない矯正治療があると聞いています。出来れば健康な歯を抜かずに矯正治療はできないでしょうか?
    健康な歯を何本も抜くことには抵抗がある方も多いと思います。しかし、歯を抜くには矯正学的な理由があります。
    • 顎(あご)と歯の大きさに不調和があり、でこぼこ(叢生)が大きい場合
    • 前歯や奥歯のかみ合わせの不正が大きい場合
    • 口元が突出している場合
    などです。
    このような問題を解決するために抜歯が必要になります。無理に歯を並べた場合、口元が突出したり、治療後に後戻りがおきやすくなることがあります。

    歯を抜かずに矯正治療ができる方は、こういった問題を残さずに歯を並べることができる場合です。このように抜歯するか否かの判断には、精密な検査が必要なことは言うまでもなく、十分な矯正治療の知識と経験が必要です。抜歯せずに矯正治療を開始した場合でも、治療途中で抜歯が必要と判断される場合には、治療方針を変更する場合があります。

    抜歯する場合でも、きれいで安定した歯並びを作るために、患者さんによって抜歯する本数や部位は異なります。どうして、その歯を抜かなければいけないのか理由を十分に聞いた上で治療を開始することをおすすめいたします。
  4. 歯に矯正器具をつけると目立ってしまいませんか?できれば目立たない装置で矯正したいのですが・・
    大人の矯正治療は、全ての歯をコントロールして咬み合わせを作ることが目標になります。そのため一般的には、マルチブラケット装置(歯の表面にブラケット装置をつけて細いワイヤーで調整する)を選択します。最近は、このブラケット装置も透明なものが多くあまり目立たなくなってきています。

    また、歯の裏側にブラケットをつける舌側矯正、取り外しのできる透明なマウスピース型の矯正装置なども開発されています。いずれも目立たないというメリットはありますが、舌側矯正の場合には、歯の裏側から力を作用させて調整するため、より高度な技術を必要とします。歯の裏側の形状に合わせて個々の患者さんごとに装置をオーダーメイドする必要があるため治療費も高額になります。

    また透明なマウスピース型の装置は、取り外しができますが、ほぼ一日中装着している必要があります。個々の歯を調整することができないため、複雑な歯の移動はできません。
    歯並びの状態によっては、これらの装置の特性に適しているか判断する必要があります。
  5. 矯正装置を入れると虫歯や歯周病になってしまいませんか?
    矯正装置が入ると歯磨きが大変しにくくなりますが、矯正治療が、虫歯や歯周病の直接的な原因になるわけではありません。虫歯のなりやすさは唾液の成分や食生活に影響され、歯周病のなりやすさは、歯肉ポケットの深さや歯を支える骨の吸収の程度、全身状態などによって異なります。矯正治療前に虫歯や歯周病が明らかな場合には、虫歯や歯周病の治療を優先していただく場合があります。

    歯磨きが行き届かないうちに装置をつけてしまうと、装置が取れやすくなり治療が進まない、歯肉から血が出てしまう(歯肉炎になる)、ブラケットを外した後に虫歯になっている・・場合があります。そういったことにならないように、矯正治療前または治療中にも、歯磨きの指導を行う場合があります。装置を付けている間は定期的にクリーニングを行うため、歯肉の状態も良くなり歯周組織も改善することがあります。

    歯並びを良くすることは、歯磨きをしやすい環境を整えることでもあります。歯並びを直すと同時に歯や歯周組織の健康も向上させるためには、患者さんご自身のホームケアが大変重要です。
  6. 矯正装置を入れている期間はどのくらいですか?
    矯正治療は、歯の移動の早さ、歯並びの不正の程度、抜歯するかしないか等の治療方針、患者様の協力の程度によって治療期間は異なります。おおよその目安として、通常、抜歯せずに治療した場合には約1~1年6ヶ月、小臼歯2~4本抜歯して治療した場合には約2~2年6ヶ月かかります。難易度の高い症例の場合には、3年程度かかる場合もあります。
    なお、小臼歯を抜歯せずに治療を開始した場合でも、抜歯が必要になると判断した場合には、抜歯治療に変更する場合があります。その際には、通常の抜歯治療と同じぐらいの治療期間がかかります。

    また矯正治療後には、保定装置を付けて移動した歯を維持します。保定装置を装着する期間は2~3年程度になります。

*ご不明な点は矯正の担当医にご相談ください。